2022/06/02 00:51

【陶器を使い始める前に】
素材の性質を理解し正しい扱い方をすることで、陶器は一段と魅力を増していきます。
大切な作品をずっとお使いいただくためにご一読ください。

【貫入】
焼き上がった器の釉薬の表面には目に見えない細かな亀裂が入っていて、使用上問題はないものの、長く使っ
ているとコーヒーやお茶などの色素が沈着し貫入がはっきりと現れてくる場合があります。これを貫入とい
い、茶湯の茶人たちはこれを経年変化として愛でてきました。渋みを増していく様子を器の変化として楽し
むこともできますが、貫入を目立たせたくない場合は下記の「目止め」をすることで、貫入の進行を和らげ
ることができます。

【目止め】
焼き上がった陶器の素地には若干の吸水性があり、焼き締めの器 ( 釉薬のかかっていないもの ) は油汚れや匂
いがうつりやすく、常に水を入れて使用する花器などは底部分からじんわりと水が滲み出ることもあります。
素地への滲みが気になる方には、器を使い始める前目止め処理を推奨しています。手順は以下の通りです。
1、米のとぎ汁を鍋に入れて沸騰させる。
2、沸騰した鍋に陶器を入れて 2~3 分ほど煮る。
3、陶器を取り出して自然に冷まし、表面についたヌメりを水で洗い流す。
4、1~2 日しっかりと乾かしたら目止め完了。
目止めをすることで米のとぎ汁に含まれるデンプン質がうつわの表面をコーティングし、水分や油分、匂い
を染み込みづらくします。目止めの効果は徐々に失われていくので、効果が弱まってきた場合は再度目止め
をしてください。

【陶器を使う時の注意点】▲電子レンジ ▲食洗機 × オーブン × 直火
陶器は水に浸け置きしたり、湿気のある場所に放置すると匂いがついたりカビてしまいます。使用した後は
速やかに洗い、よく乾かしてから食器棚にしまってください。また、焼き締めの器に料理を盛る時は、 器を水
で洗いよく拭いてから使用することで、匂いや油が染みにくくなります。 電子レンジは通常範囲内では使用可
能です。ただし、長時間使用すると破損する可能性があります。食洗器、オーブン、 直火での使用は破損の原
因となるためお控えください。

【金彩、金継ぎ陶器の注意点】× 電子レンジ × 食洗機 × オーブン × 直火
金彩とは釉薬の表面に金液を塗布し、低温で焼き付け金色に発色させる装飾技法です。金継ぎは樹脂と金粉
を用いて割れてしまった陶器の傷を目立たせるように補修する伝統技法です。金彩、または金継ぎには金属
を使用するため、電子レンジでのご使用ができません。また、長く使うと表面が摩耗し少しずつ塗装が剥が
れやすくなりますので、食洗機は使わず優しく洗うようにしてください。